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女優なんて…
第2章 女優 涼風あかね
夕刻にはレンタルの寝具が到着しました。
思いがけず大口で長期のリースに
寝具屋はウハウハでした。
「いやぁ、村長さんから高級羽毛布団をリースしていただけるとお聞きして持ってきたのはいいんですが、こうも道中が狭い山道だとは思いもよりませんでした」
布団を我が家に運びながら
布団屋さんは何度も脱輪仕掛けて肝を潰しましたよと笑いながら語ってくれました。
「どちらから来られましたか?」
「市内からですけど…」
「ああ、それなら帰りは北回りで帰られた方がいいですよ
遠回りになりますけど、ちゃんと対面通行が出来る道幅があるので」
「あ、やっぱり?
いや、そうじゃないかと思ったんですけどね
なにせ、時間が時間だったもので
就寝までに届けなければと焦っていたので…」
「本当に無理ばかり言ってしまってすいませんでした」
いえいえ、これも商売ですから
どうぞお気になさらずに。
布団屋さんは上機嫌で市内へと帰っていきました。
運び込まれた布団を見て
涼風さんは「私、ベッドじゃなきゃ眠れないわ」と、またまたわがままを言い出す始末です。
チラッと私の寝室に目をやって
「ねえ、私、このベッドを使わせてもらってもいいかしら?」なんて言ってくるんです。