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女優なんて…
第9章 村を出てゆく

桐生さんは私が作った水割りを美味しそうに飲んでくれた。
「旨いよ、さすがに女性に作ってもらう水割りは旨いな」
そう言って意味深に私を見つめてくれた。

「あんたも真面目に小説を書いてりゃ
今頃は芥川賞ぐらい取ってたかも知んないのにね」

陽子ママの言葉に私は思わず反応しちゃいました。

「えっ?桐生さんって小説家なの?」

「よせやい。昔の話さ
今はしがない脚本家だよ」

昔の話さ…
そう言った時の桐生さんの表情は
初めて知るほど暗い表情になりました。

「この子ね、処女作で新人賞を総ナメにしたのよ
それがあんたの人生のピークだったわね…」

「だから!昔話は止めてくださいって言ってるでしょ!」

口調は穏やかですが、今にも陽子ママに飛びかからんばかりのオーラが纏わりついていました。

「新人賞を?!
わぁ~、その小説を読んでみたいわ」

雰囲気を察して話題を変えれば良かったのですが
私はマジで桐生さんの書いた小説を読んでみたくなっていました。

「もう絶版さ…
古本屋に行けば一冊ぐらいあるかもな」

そんなの読んでも時間を無駄に消費するだけだ!

そう言うって桐生さんは水割りを飲み干すと
「おかわり!」とグラスを私に突きつけてきました。

「この子と私は大学の先輩と後輩という間柄なの
二人とも作家を目指すサークルでお遊び気分で小説を書いていたんだけど…
私は本当にお遊びの駄文だったけど、
この子には文才があったのね
処女作が新人賞よ!単行本も刊行されて…
印税もすごかったんじゃないの?」

そう言って陽子ママは桐生さんの手を握った。


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