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女優なんて…
第11章 陽子ママの誘惑
「文句?はて?私はママさんに恨まれることでもしたかな?」
陽子ママが作ってくれた水割りで喉を潤しながら
近藤は「文句を伺いましょう」と
姿勢を正した。
「あなたたち、優美子をしごいているんじゃないでしょうね?
可哀想にあの娘ったら目の下にクマを作ってるし、なんだかすごく疲れているのよ」
「まあ、慣れない事ばかりだから
疲れはピークに達しているかもしれないけど
決してしごいてなんかいませんよ」
近藤がハッキリと自信に満ちた話し方をするので
陽子ママも信じるしかなかった。
「ところで、肝心のあの娘はどこにいるんだい?」
姿が見えないことに不審に思った近藤は
ストレートに陽子ママに尋ねた。
「今夜は裏方をさせているわ
あんな疲れた表情で接待なんかさせられないもの」
「そうかぁ…そりゃ残念だな」
近藤は見た目以上にジェントルマンだったので
せっかく様子を見に来たんだから
ちょっと呼んでくれなどとわがままを言わなかった。
「じゃあ、また日を改めて遊びに来るとしようかな」
そう言って席を立ちかけたが、思いとどまったように、もう一度着席した。
「せっかくだからニューハーフたちの接客とかをたっぷりと見学しようか…
なあ、桐生、次回作のホン(脚本)は、ニューハーフバーを舞台に書いてみないか?」
「えっ?」
「まあ!うちをモデルにしてくれるわけ?
それじゃあ、とことんサービスさせてもらうわね」
少しでも店の宣伝になればいいと
陽子ママは近藤に甘えるように体を密着させた。