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女優なんて…
第12章 涼風あかねと安岡健一
当時、駆け出しの頃で
それほど仕事もなく、
その日も終日オフでマンションの自室で演技の勉強のためにいろんな映画のDVDを鑑賞していた。
そんな時、インターホンが鳴り響いた。
『宅配便です』
宅配便?私、ここに引っ越してからは
ネットショッピングも控えていたので
荷物が届く何て事はないんだけど…
もしかしたら実家の母から、差し入れでも送ってくれたのかしら?
事務所からは住居がばれないようにと
口を酸っぱく言い含められていたので
涼風あかねは慌ててサングラスとマスクを着けて
部屋のドアを開けた。
そこに立っていたのは宅配業者ではなく
超売れっ子の安岡健一だったから驚いた。
「や、安岡さん?!」
「やあ、図々しく自宅に押し掛けちゃいました」
大丈夫、誰にも跡はつけられていないから
ここに訪問したことは誰も知らないよ
そう言って目深に被っていたキャップを脱いで
人懐っこい笑顔を見せてきた。
玄関先で誰かに目撃されては困るので
「とにかく部屋に入ってください」と
あかねから彼を部屋に招き入れた。
「へえ~…いい部屋に住んでるじゃん」
散々部屋を見渡した後、
こちらからソファーに腰掛けることを勧めていないのに、まるで自宅で寛ぐかのように安岡はソファーにどっかりと腰をおろした。