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女優なんて…
第12章 涼風あかねと安岡健一
「あの…どういったご用件でしょうか?」
芸能界の先輩に帰ってくださいとも言えず
あかねは仕方なくコーヒーを用意して彼の前に差し出した。
「えっ?何?用がなきゃ訪問しちゃいけないわけ?」
差し出したコーヒーには目もくれずに
「コーヒーよりもビールがいいんだけどなあ」と
彼は飲酒を催促してきた。
「ごめんなさい、私、まだ未成年なので
アルコールは部屋にないんです」
そのように伝えると
「へえ~、ちゃんと法律を遵守してるなんて意外だなあ」と、この芸能界に入ったならば未成年でも飲酒するもんだぜと言われた。
「とにかく…どんなご用件なんでしょうか?」
私に用があるなら、さっさと済ませて退散してほしかった。
「だからさあ、そんな堅いことを言うなよ
これから先も芸能界で仲良くやっていかないといけないんだしさ」
君も突っ立ってないで隣にお座りよと
安岡は涼風の手をとって無理やり隣に座らせた。
「この間もバラエティー番組で君をフォローしてやったろ?
恩を仇で返すような真似はしないよな?」
そう言いながら、彼は馴れ馴れしく涼風の肩を抱いてきた。
「私、これからボイトレ(ボイストレーニング)の時間なので、申し訳ないんですがお帰りくださいませんか?」
肩に回してきた腕を、やんわりと拒みながら
涼風あかねはソファーから立ち上がろうとした。