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女優なんて…
第12章 涼風あかねと安岡健一

「えっ?ウソ…な、何…」

股間を生暖かい物がモゾモゾと這っているような感触があった。

「そ、そんな…イヤぁ~ッ!」

這いまわる生暖かいものが
男の舌である事を悟った時、
あかねはショックでおかしくなりそうだった。

「やめてください!変態だわ!やめてぇッ!!」

男が女の性器を舐める、
そういう行為をすることは処女のあかねでも知っていた。
しかし、それは夢見る年頃のあかねにとって、
想像もつかぬ汚らわしい行為と思えた。

耐え難い恥辱に、あかねは激しく髪を振り乱し、身をよじる。
ヌルヌルとした舌先が柔らかな肉唇を這い回るたび、ピクッピクッと身体を小刻みに震わせる。

「イヤ~ッ、イヤぁ~ッ!」

このマンションの防音がどれ程のものか知らないが、あかねは同じフロアの住人が悲鳴を聞き付けて「どうされましたか?」と、ドアをノックしてくれる事を祈って力の限り泣き叫んだ。
だが、あかねの祈りも虚しく、誰もそのドアをノックしてくれる人はいなかった。

やがて、心では嫌悪しているその行為が、
身体に説明の付かない感覚をもたらしていた。
下腹部が燃えるように熱く、
奥から何かが溢れ出している感じがする。
そして背筋を時々例えようのない感覚が走り抜けるのだ。
しかし それが何であるかに想いを巡らす余裕もなく、あかねは恐怖に泣き叫び続ける。

「嫌がってる割にはビショビショだぞ」
あかねの怯えを楽しむかのように
悪魔のような安岡の声が股間から響いた。

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