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女優なんて…
第12章 涼風あかねと安岡健一
そして、何の因果か
再び新作映画の撮影で安岡と絡む事になった。
ロケでは無理を言って村役場の有明優美子さんに代役をやらせたが、
今回は遠目の撮影ではなく
顔もバッチリ撮(うつ)されるアングルなので
代役を立てて逃げることも出来ない。
台本を読み込めば読み込むほど
このラブシーンは必要なのかと疑問に思えてくる。
気乗りしない涼風あかねの表情を読み取ったマネージャーの樹(いつき)が
「この作品…降板します?
まだ、クランクアップしていないし、
今なら違約金もそれほど支払わなくても済みますよ」と投げ掛けてみた。
「降板?ふん!よしてよ!
男優が気に入らないから降りるだなんて
私のプライドが許さないわ!」
ほんの一時(ひととき)だけ我慢すればいいんだわ…
私がどれ程成長したかというのを
あの男に思い知らせてやるんだから!
そして翌日、ついに濃厚ラブシーンを撮るために
あかねは都内の高級ラブホテルの一室にスタンバイした。
台本を頭に叩き込んでいると、
憎い安岡健一がやって来た。
「いやぁ~、皆さんお待たせしました。
ちょっと寝坊してしまいましたが、お陰で体調もバッチリですし、いい画(え)を撮らせてあげますよ」
その言葉に現場にはシラケた空気が流れたが
そんなことはお構い無く安岡は脱衣を始めた。