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女優なんて…
第12章 涼風あかねと安岡健一
「安岡さん…前張りどうされますか?」
メイク係の女性が言いにくそうに安岡に尋ねた。
「前張り?そんなもの必要ないって!
俺はありのままの姿でラブシーンを演じることを
ロケの時にわかっただろう?」
「そうでしたね…わかりました」
メイク係の女性は、手にしていたガーゼとガムテープをバッグにし舞い込んだ。
そして、同じように「涼風さん、前張りをお付けしましょうか?」とあかねに尋ねてきた。
あいつが不用だというのなら
当然、私だって前張りなしで撮影に挑むわと
本当は陰部を隠したくて仕方ないのだけれど
安岡に屈するのがイヤで、あかねも前張なしで撮影に挑むと宣言した。
「ちょ、ちょっと、あかねさん!」
マネージャーの樹(いつき)が慌ててあかねの元へ駆け寄った。
「いいんですか?おっぱいをさらけ出すのも事務所としては渋い顔なのに、万が一、陰毛も撮されてしまっては…」
事務所的にNGだと声を大きくした。
「マネージャーさん、私たちを信用してくれたまえ、こちらもプロなんだからアングルに間違いを起こしませんよ」
なぁ、そうだろ?と大白川監督はカメラマンの男に声をかけた。
「ええ、もちろん!こちらもプロなんでね
ちゃんと見えないように撮るよ」
自信満々に答えたが、撮ってしまえば後は編集で何とかしてもらうさと安易に考えていた。