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女優なんて…
第14章 初舞台

居候先のあかねさんの部屋に帰ると
珍しくあかねさんの方が先に帰宅していて
滅多にないことだけど夕飯の支度までしていてくれた。
「すごい!これ、あかねさんがお料理したんですか?」
もしかしたらデリバリーかもと思いましたが
どこからどう見てもその料理は手作り感で溢れていた。
「そうよ、私だってやる時はやるんだから…
なぁ~んてね
私が手料理なんかするはずないじゃない
これは樹(いつき)が作ってくれたのよ」
その言葉通りに
樹(いつき)さんがワイングラスを手にしてキッチンから現れた。
ちゃんとエプロンなんかして主夫気取りでした。
「さあさ、味の方は確信を持てませんが
とりあえず見た目は華やかに出来たと思うので
タンと召し上がれ」
そう言って彼は私が飲めないことを知っていながら
手元に置いたワイングラスに赤ワインを注いだ。
「あ…出来ればジュースかお茶が嬉しいんですけど…」
「わがまま言わないで下さいよ
今夜の料理には絶対にワインがおすすめなんですから」
樹(いつき)さんが言うように
確かに赤ワインがお料理にピッタリでした。
気付けばワイングラスを飲み干して
私は顔を真っ赤にしていました。
「よかったわ、顔色がよくなってきて…
あなた、帰宅した時は真っ青な顔色だったのよ」
そうなんです。
初舞台ということで
私の緊張はピークに達しかけていたんです。

