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女優なんて…
第15章 女優デビュー

お別れ会で盛り上がっていると
脚本家の桐生さんが姿を現した。
「ごめんなさぁ~い
今夜は貸し切りでお客さんを入れないことにしてるのぉ~」
私と桐生さんがデキてることを知らないオカマさんが、やんわりと入店を拒んだ。
「いいのよぉ、ケロ子さん、その人は優美子ちゃんのパトロンなんだからぁ」
陽子ママがそのように告げると
「ひゃあ~!ここで働くようになってまだ間もないのに、もうすでにパトロンを作っちゃったのぉ?」
陽子ママのジョークを真に受けて
ケロ子さんというおかまちゃんは目を白黒させて驚いた。
「やだわ、ケロ子さんったら…
陽子ママの冗談に決まってるじゃないですか
桐生さんは私の身元引き請け人みたいなものですよ」
そのように説明してあげると
「なぁ~んだ、私ったら、てっきり信じ込んじゃったわよ
だってぇ、あなたたちお似合いなんですもん」
お似合いといわれて
どういうわけか桐生さんは顔を真っ赤にして照れた。
「ところで桐生さん、私に用事でも?」
そのように問いただすと
「そうそう、優美子だろ、僕を大白川監督に売り込んだのは」
「ああ、そのこと?
だって、私、桐生さんのホン(脚本)じゃなきゃ嫌なんですもの」
「お陰でこっちの予定が狂っちまったよ
なんでも明日、早速打ち合わせをしたいと言ってきた」
「まあ!そうなの?
私が演じるんだから素敵なホン(脚本)を書いてね」
「というわけでここに長居はできない。
明日の朝が早いんでね」
「まあ、そうなの?
それじゃあ、お休みなさい、気をつけて帰ってね」
「何を言ってるんだい、打ち合わせには君も同席するんだよ」
えっ?私、そんなこと聞いていないわ
戸惑う私の手を取り
さあ、帰るぞと桐生さんは私を店から連れていこうとした。

