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女優なんて…
第15章 女優デビュー

そんな二人を引き剥がすように
ルームのチャイムが鳴った。

「ルームサービスをお持ちいたしました」

ドアの内側で抱擁しているとも知らず
ルーム係の女性が声をかけてきた。

私は、その声に我に返って
慌てて桐生さんから離れて
何食わぬ顔で部屋の奥の椅子に着席した。

「ありがとう、待っていたよ」

桐生さんが、そう言ってドアを開くと
ワゴンにシャンパンを乗せた女性が
深々とお辞儀をして部屋に入ってきた。

「こちらに置かせていただきますね」

そう言って女は私の前の小さなテーブルに
シャンパンとシャンパングラスを設置して
「ご利用ありがとうございました」と
再び深くお辞儀をして去っていった。

「これって…?」

「言ったろう、二人でお祝いをしたいって」

そう言いながら桐生さんは
シャンパンボトルを手にして栓を開けた。

ポン!っと心地よい音を立てて栓が抜かれて
慣れない手付きでシャンパングラスに綺麗な液体を注ぐ。

「さあ、乾杯しよう」

陽子ママのお店でもシャンパンを用意してくれたが
あいにくと私は下戸なので飲むのを控えていた。
そのように告げると桐生さんは
「せっかくなんだから少しでいいから飲んでよ」と
一口シャンパンを口に含むと
私にキスをして口移しで飲ませてきた。

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