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女優なんて…
第15章 女優デビュー
「さあさ、今日は魚沼産のコシヒカリの新米が手に入ったので沢山炊いたのでたっぷりと召し上がってくださいね」
樹(いつき)がお茶碗に艶々としたふっくらと炊き上げたご飯をおひつからよそって二人の女性の前に差し出した。
「うわ~っ、ほんと、ツヤツヤじゃないの」
涼風あかねは喜んで嬌声を上げたが
優美子は湯気の立つご飯の匂いを嗅いで
「うぷっ!」と口を押さえて洗面所に駆け込んだ。
「えっ?そんなに不快な匂いですか?」
樹は不可思議な顔をして
自分でもご飯の香りを試しに嗅いでみた。
不快どころか食欲をそそる美味しそうな匂いに
首を傾げるばかりだった。
「バカね!」
あかねはハッと何かに気づいて
慌てて優美子の後を追った。
洗面台の水栓を目一杯開いて
水を流しながら優美子は苦しそうに吐き気と闘っていた。
「いつからなの?」
背後からあかねに声をかけられて
優美子は慌てて「何のことですか?」とシラを切ろうとした。
「来てないんでしょ?…生理」
鋭いあかねの視線に隠し通せないと
優美子は口元をティッシュで拭きながら
「先月から無くて…今月も…来てくれそうにもないの」と白状をした。
「迂闊だったわ…」
中だし常習犯の安岡が相手なので
あかねは密かにピルを常用していたけれど
優美子にも処方させて飲ませるべきだったと後悔した。