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女優なんて…
第15章 女優デビュー
「ちょっと!どういうつもりよ!!」
舞台袖であかねは安岡の頬を張り倒したい気分だった。
「いいじゃん、本当のことなんだからさあ」
悪びれた様子もなく
安岡は久々の記者会見で高揚して顔を紅潮させていた。
「優美子…妊娠したわ」
「えっ?」
あかねの一言で安岡は真顔を取り戻した。
「あんた、あの子のデビューをめちゃくちゃにしたのよ、どうしてくれんのよ!」
「へえ~、おめでたなんだ…
こりゃあ、作品がまたまた注目されるなあ」
「作品の事なんかどうでもいいのよ!
あんた、ちゃんと責任とれるんでしょうね!!」
「責任?なんで?」
「だって…あんたとシタからこうなったんだし…」
「俺としても妊娠しないよ」
「どうしてそんなことが言えるの!」
「だって、俺は無精子症だしさ」
「何ですって?」
安岡のカミングアウトにあかねは凍りついた。
『じゃあ…あの子のお腹の中の子の父親は誰なの?』
ふと、あかねは樹(いつき)の方を見て
すごい剣幕の涼風あかねに睨まれて狼狽えていた。
「僕じゃないですよ
孕ませるようなドジは踏みませんから」
違う違うと
手をブンブン振って樹は無実を訴えた。
じゃあ、一体誰なのよ…
涼風あかねは自分の妹のように可愛がっている優美子を孕ませた相手をぶん殴ってやりたい気分だった。