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女優なんて…
第1章 ロケ隊がやってくる
「光栄でございます!
どうぞ、よろしくお願いします
村を上げてロケを大歓迎させていただきます」
私は天にも昇る思いで
村長たちのご意見を伺いもせずに
二つ返事でオッケーを出してしまいました。
「ロケ?どうすんの?
この村には宿泊施設などないよ!」
「ロケと言ったって
どこにでもある農村風景しかないのにさ
どこをどう撮れば画(え)になるって言うんだね」
案の定、村長や役場長からの否定的な意見が飛び交った。
「今からでも遅くないだろ
君、映画会社に連絡してお断りを入れなさい!」
まるで村が知られてしまって有名になるのを拒むかのような否定的な意見ばかりでした。
「いえ、しかし…広報の立場から意見を言わせてもらえば、このロケ地の話は滅多とない機会だと思うんですけど…」
「君は気楽でいいね!
じゃあ、接待とかどうすんの?
そんな予算はこの村にはないよ!」
「銀行から融資してもらいましょうよ
村民から募金を募ってもいいじゃないですか
映画がヒットすれば、ロケ地は映画の聖地として多くの観光客がおみえになるはずです」
「しかしねえ…」
難色を示す方々に対して
村の助役さんが「まあまあ、一か八か映画に村起こしの期待をかけてみるのもいいじゃないですか」と助け船を出してくれた。