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女優なんて…
第1章 ロケ隊がやってくる
「口添えをしていただいてありがとうございます」
会議が終わって会議室を出たところで
私は助役さんに頭を下げた。
「全然いいって
実はね…ここだけの話だけど…
あたしゃ若い頃、東京の大学にいた頃に
演劇部だったんだよ
だから、映画撮影というものに
ものすごく興味があるのさ」
ステップを踏むように廊下を歩いて行く後ろ姿を見ていると助役さんが一番ウキウキしているようでした。
さて、問題は撮影隊の宿泊問題でした。
幸いなことに農家のご家庭はどこもかしこも
大きな民家でしたので
私は思いきって各ご家庭に撮影隊を散らして宿泊することを提案してみました。
しかし、見ず知らずの人たちを家に泊めるということに村民の方たちは難色を示した。
すると撮影隊のマネージャーという方から
「どうでしょう、ご協力をいただいたご家庭の方にはエキストラとして映画に出演していただくということで手を打ちませんか?」と
そのような提案がありました。
私は、なるほどなぁと感心しちゃいました。
さすがにロケに慣れているというのが頷けます。
その提案を村民に知らせると
我も我もと民泊希望者が続々と申し出てくれました。