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女優なんて…
第5章 女性マネージャー

私は安岡とマネージャーをホテルにチェックインさせて、急いで村へと引き返していた。

あともう少しで村に帰りつく…
そんなときだった
助手席に放り出していたスマホに着信があった。

スマホ画面には見たこともない番号が表示されていた。
『誰から?』
私は車を路肩に停車させて通話を開始した。

- どうもぉ~、安岡です -

いきなり馴れ馴れしい言葉が
私の耳に飛び込んできた。

「安岡さん?何かホテルに不都合でもありましたか?」

こんなホテルじゃ嫌だと駄々をこねられても
この辺りにはそのホテル一軒だけなので
なんとか我慢してもらわねばと
そんなことを思いながら安岡の次の言葉を待った。

- いや、特に用事はないんだけどね…
無理ばかり言ってごめんね、
お陰でホテルの部屋でゆっくりさせていただいてますよ -

「そうですか…それは何よりです」

- どういうわけか、君の事が妙に気になっちゃってさぁ…用事もないのに君の声が聞きたくて電話しちゃったよ -

「それは光栄ですわ…
でも、明日も早朝より撮影があると伺っておりますので、どうぞ、ごゆっくりとお休みください」

そう言って私は通話を切ろうとしました。

- 待って!切らないで…
このまま僕の相手をしてください -

無理やり通話を切ることも出来たけれど
彼にヘソを曲げられてロケが台無しになってしまうと、それこそ大変だと
私は路肩に停めた車のエンジンを切って
仕方なく彼の話し相手になる準備をしました。

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