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女優なんて…
第1章 ロケ隊がやってくる

そしてついにロケ隊がやってきた。

ワゴン車が5台にリムジンが1台、
そして大型のコンテナートラックが二台と
予想以上の隊列です。

幸いなことに
車を停める空き地は掃いて捨てるほどにありますので、余裕で車列を駐車出来ました。

私はてっきりリムジンには大白川監督が乗っているものだとばかり考えていて
リムジンの後部ドアに駆け寄って挨拶をしなければと思った。

しかし、ドアが開いて降りてきたのは
この世の中にこんなにも可愛い人がいるのかと
目を疑うばかりの可憐な女性でした。

リムジンの運転席から男が慌てて飛び降りて
すかさずその女性に日傘をさした。
「うわぁ~♪聞きしに勝るド田舎ね~♪」
彼女は決してこの村の風景を貶した訳でなく
農村の風景を楽しんでいるという
そんな口調でそう言った。

「あかねさん、本当にお疲れ様ですぅ」

日傘を差し出した男が
奈良の鹿のように頭をペコペコさせて諂(へつら)った。

「悪いねえあかねちゃん、でも、ここならいい映画(え)を撮れると思う訳よ」

ワゴン車から降りてきた顔中髭だらけのおじさんが彼女に向かって豪快に笑った。

先にリムジンから降り立ったのが
女優の涼風あかねで
ワゴン車から降りた髭モジャのおじさんが巨匠と呼ばれる映画監督の大白川監督でした。

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