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女優なんて…
第6章 本番
出演すると快諾したあとは
どんどんと用意が進められてゆきました。
ヘアをカットしてセットが終わると
普段は薄化粧しかしないのに
しっかりとメイクまでされて…
「これに着替えようか」と
スタイリストさんが用意してくれた衣装を身に纏うと「うん、いいねえ!どこからどう見ても涼風あかねだ」と大白川監督は上機嫌でした。
「ホント…」
当の涼風あかねも
私を舐め回すように見つめて驚いた。
影武者として濡れ場を演じさせられるなど
その時はわからないままでしたので
ちょっとばかりだけ女優気取りでウキウキしていた。
「はい、じゃあ、撮影の遅れを取り戻すよ」
大白川監督の号令で
それぞれが自分の持ち場に散ってゆきます。
「あの…私は?」
衣装まで着せられて
ヘアメイクも施されたのだから
一言ぐらいはセリフもあるのかと
心臓がばくばくしてきた。
「先に涼風あかねと安岡健一のバストショットを撮るから、あんたの出番はその後だ」
その辺に待機しておいてと言われて
助監督が用意してくれたチェアにちょこんと座って待つことにしました。
「シーン142、本番行きます」
助監督の男がガチンコと呼ばれるものを
カメラのレンズを塞ぐようにして遮った。
「用意…スタート!!」
大白川監督の号令と共に
ガチンコがその名の通りに『ガチャン』とギロチンが落ちるように拍子を鳴らした。