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女優なんて…
第7章 涼風あかねの嫉妬
村長宅は灯りも消えてシンと静まり返っていた。
「ほら、もうお休みのようですよ」
樹(いつき)は涼風に諦めさせて車をUターンさせようとした。
「叩き起こすわ!」
動き出そうとした車のドアを
いきなり開けたものだから、
樹(いつき)は慌ててブレーキを踏んだ。
「まったく…強引なんだから…」
私とマネージャーの樹(いつき)は仕方なく
車を降りて彼女の後に続いた。
豪勢な門扉のインターホンを
涼風さんは、これでもかと連打した。
- はい、大西でございます -
インターホンのスピーカーから
落ち着き払った上品な声が反ってきた。
失礼があってはならないと
私はすかさずインターホンの前に陣取る涼風さんの脇から「夜分に大変申し訳ありません。役場の広報課の有明でございます。明日のロケの事で至急ですが監督さんと打ち合わせの為に無理を承知でご訪問させていただきました」
- あらあら、それはご苦労様ですこと…
大白川監督と宅の主人は離れで晩酌をしておりますわ、どうぞ、お入りくださいな -
言い終わらないタイミングで
電動なのか、門扉がギギギっと重厚な音を立てて開いた。
そして母屋の玄関に明かりが灯り
寝巻き姿の村長夫人が姿を現した。
「こんばんは
夜分に申し訳ありません」
「いいの、いいのよ
あの人たち、まだまだ寝そうもありませんしね」
どうぞ、こちらですわよ
そのように案内されて
母屋の横に建つ離れへと案内していただいた。