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女優なんて…
第7章 涼風あかねの嫉妬
離れに近づくにつれて
賑やかな話し声が聞こえはじめた。
『かなりお酒が進んでいるようね…』
「さ、どうぞお上がりになってくださいな
今すぐにでもお茶をお持ちいたしますわ」
そう言って離れの奥の間に向かって
「あなた~、役場の有明さんがお見えになりましたよ」と声をかけた。
「お!そうかい?
今、その彼女の話題で盛り上がっていたとこなんだ。遠慮なくこっちに来てもらってくれ」
上機嫌なのだろう。
周りに民家がないこともあって
村長と大白川監督の浮かれた声が響き渡っていた。
「失礼します」
襖を開けて顔を覗かせると
「おっ!わが村の大女優のお出ましだぁ」と
村長は嬌声を上げ、私の後ろから涼風さんが顔を覗かせると「こりゃ驚いた!本物の大女優も現れたかぁ!」と手をバンバン叩いて喜んだ。
マネージャーの樹(いつき)も二人の後から顔を見せると、「無粋だねえ、君はお呼びじゃないんだよ」と広間に入ることを許されずに控えの間で文字通り控えさせられた。
「いくらマネージャーでもプライベート空間まで顔を出しちゃいけんよ」
両脇に女性二人を侍(はべ)らせて
男なんかにゃ用はないとマネージャーの樹(いつき)さんをおもいっきり貶した。