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女優なんて…
第7章 涼風あかねの嫉妬
「さあさ、まずは一献!」
大白川監督は自分の盃をぐいっと飲み干すと
それをそのまま涼風さんに手渡した。
そしてなみなみと酒を注ぐと
「さあ、駆け付け三杯と言うじゃないか
一気に飲み干してごらん」と勧めて
涼風さんも肝を座らせるためか
盃の酒をグビッと飲み干した。
「ほぉ~、さすが大女優ともなると呑みっぷりがいいねえ」
などと、涼風さんを煽(おだ)てて
次々と盃を空けさせた。
私にも村長から酒を勧められてきた。
拒むと役場の仕事に支障が出ては困るので
私も涼風さんに負けず劣らず盃をどんどんと空けた。
私たちは夕飯をまだ済ませていなかったので
空腹の胃袋に構わずにお酒を流し込んだものだから
一気に酔いが回ってきた。
頬を真っ赤に染めて酔いが回ってきたのを確信すると「さて、本題に取りかかろうか、まさか夜更けに表敬訪問してきた訳ではあるまい?
私に何か言いたいことがあるんじゃないのか?」と
私たちが訪ねてきた理由を知りたがりました。
「監督…私、女優として失格かもしれません」
酔いの回ってきた酒の力を借りて
涼風さんはストーレートに濡れ場について悩んでいることを白状しました。
「演技は演技さ、プライベートを忘れて役に成りきることが出来れば濡れ場だろうと、壮絶な殴り合いだろうと、どんな壁も乗り越えられるさ」
監督は、さほど酔っていないのか
真顔で演技について語り始めた。