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駆け込んだのはラブホテル
第13章 はじめての
静寂に包まれたまま、しばらく二人とも動かなかった。
動けなかった、と言ったほうがいいかもしれない。
荒い呼吸の音だけが二人分、空間に重なり合っていた。
「……桜木、さん」
整わない息で、それでも守屋はようやく声を発し、
「大丈夫でしたか」
桜木を気遣おうとした。
「ええ、何とか」
桜木も浅く息をしながら答える。
守屋が桜木の首筋に顔を埋めて、小さく、好きですと呟いた。
守屋はゆっくりと体を引き、桜木の中から自分自身を抜く。
ゴムの中には今まででいちばん大量の白い液体が溜まっていた。
桜木が、胸元を腕で隠しながら、どうでしたか、と聞いた。
「めちゃくちゃよかったです」
「よかった」
桜木が嬉しそうに微笑む。
「桜木さんはどうでした」
そう聞き返すと、桜木は目を泳がせて、
「えっと……よかった、です」
もごもごとそう言った。
「自分でした質問、自分に返されると恥ずかしがるんですか」
「だって……」