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駆け込んだのはラブホテル
第14章 朝
「桜木さん」
「……はい」
「朝ごはんとお風呂、どっちを先にしましょうか」
床に放置されていたトランクスだけ身に着けたのは、桜木が目の遣り場に困るだろうと思ったからだった。
「あ、ええと、じゃあお風呂、かな。昨夜、歯磨きしてませんし……」
「そういえばそうですね」
守屋はそのまま風呂場に向かう。
「じゃあ、お湯溜めてきます。歯磨きするころには沸くでしょうから、先入ってください」
「そんな」
桜木は体を起こしながら、守屋を止めようとする。
「何から何まで、申し訳ないです。自分でやります」
そんな桜木を一瞥して、守屋は言った。
「その格好のまま、出てこられますか」
桜木は、今ベッドから出たら全部晒してしまうことにようやく気がついた。
「桜木さんが服を着るの待ってる間、俺は暇なんでお湯でも沸かしてますよ」
守屋は優しく笑って、風呂場に繋がる洗面所に入った。
桜木は、守屋が洗面所の扉を閉めたのを確認し、慌ててベッドから這い降りて昨日の服を搔き集めた。
守屋はひとりになった洗面所で、ちゃんと微笑めただろうかと自分の表情を振り返りながら、もう何も出ないだろうに何度でも勃ってしまう、足るを知らない自分自身を恨めしく睨んだ。