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駆け込んだのはラブホテル
第14章 朝
守屋の声のトーンは一段落ちていた。
「嫌では……」
桜木は、しまった、と布団の中から顔を出す。
自分の態度で守屋が心の傷を負う可能性がある、ということに桜木はようやく思い至った。
けれど、その目を直視する勇気はやっぱりなかった。
「嫌では、ないです」
それだけは、何とか言葉にする。
「恥ずかしかっただけ」
桜木は布団に顔を埋める。
守屋はベッドの上にずっと座ったまま、その一連の仕草を見ていた。
自分の後悔を払拭するために、一生懸命言葉にしてくれたのだと気づいていた。
思わずため息が出た。
「……まったく、桜木さんは」
「……何ですか……?」
「可愛い」
布団の中で、桜木はびくりと体を震わせる。
守屋はこれ以上彼女に何かをしたくなってしまう自分を、もう一度ため息をつくことで抑え込んで、ベッドから降りた。