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駆け込んだのはラブホテル
第15章 入浴剤
モーニング用のおにぎりセットを二つ注文し、ベッドの端に腰掛ける。
びしょびしょのままベッドに放り込まれた桜木が寒くないか心配になって、また、ホテルに悪い気がして、守屋は横に投げ出されていたバスタオルを彼女の髪に押し当て、せめて水分を取ろうと試みた。
「大丈夫ですか」
「はい。ごめんなさい、びっくりさせちゃって」
よく謝るな、と守屋は桜木の前髪を手櫛でとかす。
こっちこそ、慌てふためいちゃってダサかったな、と思いながら。
「どうでしょう。無理させたのは俺なので」
「でも、はじめに帰りたくないって言ったのは私ですよ」
う、と一瞬息を詰まらせ、それから守屋はため息をついた。
「またそういう可愛いことを言う……」
桜木の顔色がよくなってきたのを見て、守屋は立ち上がった。
「寝っ転がったままでも多少髪乾かしたほうがいいですかね」
コンセントなら枕元にもある。ドライヤーを取ってこようと守屋が歩き出すと、
「あ、あの……もう起き上がれそうなので」
桜木が、掛け布団を口元まで引き上げながら言った。
「私のバスローブも、持ってきていただいてもいいですか」
「ああ、はい。わかりました」