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駆け込んだのはラブホテル
第15章 入浴剤
「どうですか、ベッドまで移動できそうですか?」
「……ん……」
イエスともノーとも言わない桜木に、守屋はシャワーを止め、バスタオルを取ってくる。
それで桜木の体を隠しつつ、何とか桜木を持ち上げた。
「ごめんなさい、迷惑かけて」
「迷惑とは思ってませんから、捕まってください」
そう言うと、桜木は守屋の首に手を回した。
「優しいですね」
「そういうことは、回復してから言ってください」
守屋は桜木をベッドに運ぶと、できるだけ下を見ないようにしながら掛け布団を掛け、エアコンの温度を下げた。
「朝ごはんもまだでしたし、あんまりちゃんと寝たとも言えませんから。休んでてください」
守屋は桜木に水を持ってくると、他にできることはないかと部屋の中を見渡し、テーブルの上のタブレットを見つけた。
「朝ごはん頼みましょう」
「はい」
桜木が、突然おかしそうにくすくすと笑う。
「……何がおかしいんですか」
「すみません、守屋さんが一生懸命私の心配してくれるので、嬉しくなっちゃって」
「……そういうことは、元気になってから言ってくださいって言ったでしょう」
まだか弱い笑い声だったが、その声を聞いて、守屋はちょっと肩の力を抜くことができた。