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駆け込んだのはラブホテル
第4章 「水着よりは守備範囲広いです」



 いつの間にか日付が変わっていた。



守屋と桜木は、ローテーブルの上にあったメニュー表から、ようやく、夕飯――もはや夜食と呼んだほうがいいかもしれないが――を選び、守屋は、注文が届くまでの間、桜木に風呂に入るように促した。

 桜木が、自分のスーツケースの脇にしゃがんで着替えの用意をする。
桜木のスーツケースの中を見ないように、守屋はメニュー表を眺めていた。



「桜木さん、ほんとにサラダだけでいいんですか」

「時間が時間なので……」

 一方の守屋は、がっつり焼きそばを頼んでいる。

「桜木さん、お酒飲みます?」

「えーと、じゃあ、守屋さんが飲むなら」

「僕はビール飲もうかなと思うんですけど」

 もはや飲まなければやっていられる状況ではない。

「じゃあ、私も。でも私、ビール飲めないので」

 桜木が、手を止めてソファの後ろから守屋の手元を覗き込む。


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