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駆け込んだのはラブホテル
第6章 寝顔に我慢できなくて
桜木はもう寝ているだろうと思い、守屋はドライヤーを使うのをやめた。
普段から、面倒だと自然乾燥で済ますこともある。
風呂で――いろいろと考えてはいけないことを考えないようにしながら――汗を洗い流し、歯を磨き、頭を拭きながら、そっとドアを開けてベッドルームの様子を窺う。
静かなものだった。
さっきと同じオレンジ色の暗い明かりの中で、ベッドの上に横たわった桜木は、ぴくりとも動かなかった。
「桜木さん、寝てます?」
小さな声で問い掛けてみる。返事はなかった。
ほっと息をつき、守屋は洗面所を出てドアを閉めた。
洗面所の明るい光から暗い常夜灯に目が慣れるまで、数秒掛かった。
桜木は、ベッドの隅で小さくなって寝ていた。
ベッドの外側を向くように横向きになって、掛け布団から片腕を出していた。
寝ている女性を襲うことはしないと、守屋は自分を信じていた。
バスタオルをソファの背に放って、守屋はそっとベッドに近づいた。