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駆け込んだのはラブホテル
第6章 寝顔に我慢できなくて
桜木に目をやると、さっきと全く変わらない姿勢。
「……ごめんなさい」
守屋はそう呟いた。
このまま消えていなくなりたかったが、開かないドアがそれを許してくれないことを思い出した。
守屋はティッシュをごみ箱に捨て――トイレットペーパーなら、流してしまえば証拠は隠滅できたのに、それすら叶わない――いや、証拠を隠滅するほうが不誠実かもしれない。守屋はソファに身を投げ出して座った。
今夜は眠れそうにもなかった。
ただ、優しくも寝たふりを続ける桜木の後頭部を眺めながら、ひたすらに時間が過ぎるのを待った。
転職サイトでも見るか、と、守屋は私用のスマホを開いたが、転職サイトに一つ登録したところで、突然スマホの電源が落ちた。
残念ながら、ホテルを探したときに使い倒したせいで充電が残り僅かになっていたようだった。
踏んだり蹴ったりだった。
守屋はソファの上で胡坐を掻いたまま、ただただじっとしていた。