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駆け込んだのはラブホテル
第6章 寝顔に我慢できなくて



 ――やってしまった。



 急激に、罪悪感が守屋を襲った。



 桜木が許してくれた理由に、心当たりがなかった。

怖がらせただろうか。
もしかして、この部屋に来てからずっと守屋が挙動不審だったことに気づかれていて、最後までさせないと襲われると思ったのだろうか。
はたまた、明日の仕事に支障が出ることを心配されていたのだろうか。

 もしくは……と、別の可能性を考えようとした自分を、守屋は心の中で叱った。



 桜木が自分を好きだと思い込み始めたら、それはただのイタい童貞だ。



 もしかしたら百歩譲って、桜木もそういう行為自体には興味があったのかもしれない、という考えが守屋の頭をよぎる。
しかし、桜木は、口で言うほどモノを知らないと思っておいたほうがいい。
その場合、モノを知らない女性を自由に襲っていいということにはならない。
桜木を大切に思うならば、セーブを掛けるのは男の役割だ。
それを果たせなかった自分が、遣る瀬なかった。
欲望に身を任せてしまった自分に対する嫌悪感が守屋を支配した。



 寝ている女性を、触れなかったにしろ、こんなふうに使ってしまうなんて。



 もう、駄目かもしれない。


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