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駆け込んだのはラブホテル
第10章 心変わり
二十四歳はまだ若い。
これから出逢いもあるだろう。
守屋自身も、社会人になってから、大学時代の学友に思い出したように告白されたことがあった。
桜木も、まだ数年はそのチャンスがあるだろう。
それに、桜木は、可愛い。
「もっとちゃんと、普通に恋をして、普通に付き合って、普通にステップを踏んで、いつかだいじに愛される日が来ますよ」
「私が、誰でもいいように見えましたか」
そのとき、桜木が動いた。
守屋の心臓が跳ねた。
桜木は、腰を浮かせて守屋の近くに座り直したのだった。
守屋は前を向いたままだったが、視界に侵入した膝の位置で、少しでも動いたら肩が触れてしまう距離に桜木がいることを察した。
守屋は金縛りに遭ったように身動きができなかった。
「そんな軽い女に見られていたとは、心外ですね」
守屋は、何も言えない。
「守屋さんは、誰でもよかったくせに」
「それは違う!」
反射で守屋は顔を上げた。
すぐ近くに、桜木の顔があった。