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駆け込んだのはラブホテル
第10章 心変わり
守屋ははっとして、慌てて答える。
「いつでも。土日は基本暇です」
「私もです」
桜木が、強ばった顔で笑う。
「どこ行きます?」
「……考えます」
「ありがとうございます。二人で考えましょう」
「いえ、僕が考えます。本気で、桜木さんに認めてもらいにいかなきゃいけないので」
「もう、充分なんですけどね」
桜木は恥ずかしそうに俯いた。
「……煽らないでって言ったでしょう」
「でも、優しくしてくれるんでしょう?」
桜木が不敵に言う。
「私のこと、使い捨てじゃないって、ただ近くにいて、自分に惚れてるみたいだから都合よく使っただけの女じゃないって、信じさせてくれるんでしょう」
微笑みながら、桜木のその声は、少し寂しげに、悲しげに、自嘲気味に聞こえた。
「そんなふうに思ってませんよ」
絶対に手は出さない。守屋は自分の心に軛を立て、ベッドの下から這い出して、桜木の頭をそっと撫でた。
桜木は、嬉しそうに笑った。
親に褒められた子どもみたいな笑顔だった。
この部屋にはソファなどなかったので、守屋は洗面所ででも寝るかと考えていたが、桜木と話している間に時間は過ぎて、始発の時間に二人でチェックアウトして、家に帰ってから倒れるように寝た。