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駆け込んだのはラブホテル
第11章 人生初デート
「桜木さんは、どうですか」
「わ、私は」
桜木も倣うように水を飲む。
「私も、今日すごく楽しかったです」
「で? ――いや、すみません、それ自体は嬉しい言葉なんですが」
桜木は深呼吸を何度か繰り返し、やがて落ち着いて、覚悟を決めた。真っ赤な顔で俯いたまま、
「その、えっと、よろしくお願い、します」
それを聞いて、守屋は、全身の強ばりが解けるのを感じた。
自分が緊張していたことに、今更になってようやく気がついて、守屋は盛大に息を吐いた。
力が抜けすぎて机に突っ伏してしまいそうだったが、そういう雰囲気の店ではなかったので何とか踏ん張った。
料理遅いな、と思ったタイミングで前菜が来た。
店員に、おめでとうございますと声を掛けられ、一瞬何のことかわからなかったが、会話を聞かれて料理を運ぶのを待ってくれていたのだと気づいて、二人で恥ずかしさに撃沈した。