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駆け込んだのはラブホテル
第12章 帰りたくないです
「……下手かもしれませんよ」
守屋は正直に弱音を吐いた。
「はじめてなので」
「いいよって言ってるのに」
桜木が、不満げに言う。
「あまり女性に恥をかかせるものではありません」
「……すみませんね、ヘタレ童貞で」
そう答えると、桜木は肩を縮めて少し笑った。
六月末の薄着の桜木の、背中に守屋はようやく手を添え、優しくなぞった。
下着の紐がどこにあるか、すぐにわかった。
くすぐったかったのか、桜木が、「んっ」と小さく声を上げた。その声だけで、守屋は完全に勃った。
「場所、探します」
そこからの行動は早かった。
駅の向こう側にいくつもホテルがあることを検索で突き止めて、守屋は中でもできるだけ綺麗で大きい部屋を探した。
守屋のペースでいいと言われたので、ここだけは場所代を持たせてもらおうと、少し高めのホテルを選んだ。
後ろを着いて歩く桜木は、守屋に片手を繋がれたまま、ずっと足元ばかり見ていた。