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駆け込んだのはラブホテル
第13章 はじめての



 口の端で呼吸をしているだけではもう二人とも続かなくなったころ、ようやく守屋は桜木の舌を解放した。



 真っ暗闇の中で向かい合って座ったまま、守屋が静かに、言う。

「優しくするので……ぜったい優しくするので、続き、させてください」

「……本当に、私で大丈夫ですか」

「桜木さんがいいんです」



 守屋は桜木の背中に手を伸ばし、震える手で、下着のホックを外そうとした。

「自分で外しましょうか」

 桜木の進言に、

「……俺にやらせてください」


 できる限り心を落ち着かせて、守屋は、桜木のニットをまず脱がせた。

放っていいものか迷って、手探りで軽く畳んで、ベッドの脇に置く。
それから、下着を外そうと桜木に再び手を伸ばすと、桜木がぴくりと反応した。



 もう、それだけでおなかいっぱいなのに。



 もっと欲しいと思ってしまっている。


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