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アウスペック図書館の奇妙な住人 seasonⅠ
第1章 古書
そんな呑気なことして場合じゃありません。
 走ってきたのはマイケルだった。
 マイケルはエマと同じ時期からここで働いている。
 マイケルの方が一年ばかり遅く入ってきた。
 言わば、エマの後輩にあたるが、エマをめっぽう慕っている。いつも、アタックして食事に誘っているが、エマに軽くあしらわれている。
 こ、こ、古書が……。執事のお気に入りの文献が紛失してるんです。
 きちんと確認したの?
 いつもみたいに、ありました笑……ってことにならないようにね。
 先週も同じこと言ってたじゃないの。
 あなた、ちょっとおっちょこちょいなのよね。
 確認不足も多いし。
 エマはどんなときでもいたって落ち着いている。
 その落ち着きぶりは年齢を感じさせない。
 先週エマさんに言われてからちゃんとチェックしてます。それに執事からも言われていたので。
 ジェファーソンに?
 はい。古書の取り扱いには「細心」の注意を払うようにと。
 【そんなこと、いまさら言われなくて職員は皆んな注意しているのに……】
 図書館で貴重な古書が盗まれたという事件が発生したことは少し伏せておいて。ジェファーソンに相談してみるから。彼の指示を仰ぎましょう。
 はぁ。僕……怒られますね。クビでしょうか?
 さあ。そんなに簡単にクビにしないでしょう。
 でもジェファーソンは論文の締め切り間近で、今日は執事室には誰も来させないようにって言われたのよね。困ったわね。
 そこにマイクが声をかけてきた。
 エマ、どうした?何かあったのか?
 おまえの顔見たら、すぐに何かあったって分かるぞ。
 マイケルはもう少し探してみて。さ、行って!
 エマはマイクの腕を掴み、ツカツカと奥に入っていく。
 ちょっと聞いてくれる?
 な、何だよ。
 実はね……。
そうか……。そんなことが。
 執事には話したのか?
 それがね。まだなのよ。この図書館には防犯カメラがないのよ。何せ、古い歴史ある建造物だし、外観、内観を損ねるからって。
 つい最近、ようやくパソコンを導入したくらいなのよ。学生が多いでしょう?パソコンで調べ物をする子も多くてね。
 エマはこんなときはマイクを頼りにしている。
 エマのちょっとした異変に気づくのはマイクだけである。エマは普段から顔色ひとつ変えないくらいのポーカーフェイスだが、マイクには分かるらしい。
 
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