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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
林道をひた走る間にも、窓から外を眺めては頻りと騒がしくしていた彼女たち。到着すると、興味津々といった感じで別荘の周辺を見渡していた。いつまでも中に入ろうとしない彼女たちを促し、ようやく建屋の中へ。そこでも荷物を手にしながら、彼女たちはその顔を輝かせた。
特に一階のリビングダイニングは、三角屋根の天井を見上げる吹き抜けになっていて、それがいたく気に入ったご様子だ。ひと際、高い声が上がる。
「うわー、なにこれぇ! すっごーい!」
車内でも一番はしゃいでいたのは彼女だった。思わず向けたこちらの視線に気づくと、彼女はニッコリとした笑顔を振りまく。
「夏輝木葉(なつき このは)でーす! お兄さん、改めてよろしくお願いします!」
「あ、うん……よろしく」
その太陽のような明るさに、こちらはやや引き気味み。もちろん印象としてはよいのだけど、あまりグイグイくるタイプだと基本的には苦手だ。
改めて元気に挨拶をした夏輝さんをきっかけに、それぞれが簡潔な自己紹介をする流れになった。
「あの……松川土埜(まつかわ つちの)です。は、はじめまして……。この度は、その……いろいろと、ご面倒をおかけします」
さっきの夏輝さんとは好対照。松川さんは、とても大人しそうなタイプだ。俺の方を俯き加減に見やった後で、深く丁寧に頭を下げた姿に思わず恐縮する。
「こちらこそ、よろしく。そんなに、かしこまらないでね」
「す、すみません……」
「いや、別に……気楽にしてくれていいから」
松川さんは、もじもじと恥ずかしそうに立ち尽くす。フレームの大きな黒縁の眼鏡が、絶妙に似合っているように思えた。
そして、瑞月を除けばあと一人――。
「どーも、高坂(こうさか)です」
「どうも」
一人だけフルネームを告げずに、素っ気のない感じの彼女。その容姿を一言で表すのなら、それは〝ギャル〟ということになるだろう。瑞月を含め四人の中で、ぱっと見で一番派手に映るのが、この高坂さんだ。