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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
滞在中、彼女たちがどこかへ出かける度に送迎するのかと考えれば、ふと憂鬱にもなる。さりげなく免許を持っている人がいるか聞いてみたのだけど、初心者マークが一人だけ。この大きなワゴン車の運転を、任せるわけにはいかないようだ。
これは思った以上に面倒な上に、かなりの時間を割かれることになりそうだが……。
そんなこちらの想いをよそに、後部座席の彼女たちは「なにこれ。めっちゃ涼しいんだけど!」とか「空気がおいしいよねー」とか、避暑地あるある的な言葉を並べてはテンションを高めていた。それとは対照的に、助手席に座る彼女は到着以来一人だけ口を噤んだままである。
赤信号で停車すると、ふと、その横顔を気にした。
「なに?」
妹の瑞月が、ようやく発した言葉は不機嫌に彩られていた。
「いや……なんかさ。随分と、印象が変わったなって思ったから」
「なにそれ……ウザ」
やはり、瑞月はまだ俺のことを……。
窓を開けて外を眺める瑞月の、以前とは違っている金色に染められた髪が、さらさらと風になびいていた。