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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由


「青だよ」

「あ、うん」

 高坂さんに言われ、素知らぬ顔で車を走らせるが、内心はビクビクであった。このベタなうっかりは、昨日に続き二度目。運転中には極力、余計なことに気を取られるべきではない。

 大体、消去法といっても、無理矢理こじつけている感は否めなかった。妙な先入観を持つことによって、物事を見誤るのはよくあること。俺はまだ彼女たちのことを、多くはしらないのだから。

 ええい、やめよう。答えの出ないことについて考えを巡らせても、無駄な労力を消費するだけ。只でさえ書きかけの小説が大詰めに差しかかっている時に、なけなしの思考能力を他に割いている場合ではないのだ。

 今日は淡々と、彼女たちの案内役(ガイド)に徹することにしよう。

 とはいえ、この辺りが日本で有数の避暑地とはいってみても、いざ観光名所に案内しろと命ぜられた時に、それは一気に心許なく思ってしまう。もちろん、それは土地柄のせいではなく俺自身の問題としてだが。

 別荘暮らしでかれこれ一年住んではいるが、遊び歩く目的で出かけたことはほぼ皆無だ。この地に来たのも、たまたま親父の別荘があったからに他ならない。それ自体、あり得ないくらい恵まれた境遇であることを、自覚した上で述べている。批判があるのは最もだろう。

 そんなわけで、すぐに案内しようと思いつくのは、せいぜい二、三か所程度のこと。豊富なマイナスイオンに合わせ焼き立ての川魚を食することも可能な美麗な滝であり、昨日彼女たちが赴いたショッピングプラザとは対照的に昔ながらの風致を感じさせる旧銀座通りであり。とりあえず、その辺りには押さえておきたい。

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