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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
だが当然、それに悪い気がするはずもなくて。
「ホント、勘弁してくれよ。今朝だって、こっちは明け方まで書いてたのにさぁ」
「だっ、だから悪かったって、言ってるでしょう」
「そう言われても、一日を無駄にすることには変わりないからな」
おどけて言ってから、やや調子に乗ってしまったと反省する。これでは、せっかく歩み寄ってくれた瑞月の機嫌を、また損ねてしまうかもしれないと感じたのだ。
だが、瑞月は――
「……ごめんなさい」
――なんと、素直に謝ったのである。
昨日はほぼ口さえ利いてないのに、本当にどういう心境の変化だろう。否、俺ごときが女心を理解しようとする方が、おこがましいのかもしれない。
「まあ、いいさ。妹のわがままを許容するのも、兄の務めだからな」
俺としても素直に笑顔を向けた、つもりだったのだが……。
「!」
対する瑞月の反応は一転、険しいものになる。勝気な眼差しで、キッとこちらを睨みつけた。
「ど、どうした?」
「なんでもない!」
怒ったように、先に駆け出そうとする瑞月。しかし数歩進んだところで足を止めると、背中を向けたまま言う。
「あのさ」
「ん?」
「もし……涼一がこのまま、二週間を何事もなく……」
「二週間、何事もなく……?」
途切れた言葉の先を、促すが。
「……やっぱ、いい」
瑞月は言って、今度は立ち止まらずに駆けて行った。