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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
「……」
只、あるがままに、男を惑わすように。松川土埜からは、そんな魔性を感じる。
変な言い方かもしれない。だが俺はこの瞬間、さっきの男の気持ちが少しだけ理解できるような気がした。もちろん、痴漢行為を肯定するつもりは一切ないけど。
しかし今、松川土埜から発せられる、なにか。独特の雰囲気に、俺は当てられているのだ。ベタな言い方をすれば、これがフェロモンというもの? よくわからないが、こうして彼女を前にしていると、妙な気を起こしそうになってしまう。
「さっき、名前を」
唐突に言葉を発した唇に、ハッとした。
「な、名前……?」
俺は慌てて、彼女の言葉に応じる。
「さっき、『土埜』って呼ばれたので」
「あ、ああ、それは……相手をけん制しようと思って、咄嗟に叫んでたみたい。気を悪くしたなら、ごめん」
「いえ……いいんです。もちろん、そういうことだと思いました」
松川さんは言いながら、両手を顔の前で振り。
「だけど、少しだけ……ドキドキ、してしまいます」
その後で頬を赤らめると、彼女は微笑を浮かべて俺を見つめた。