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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
そんな連中も、もしかしたら彼女のフェロモンに惹きつけられているのではないか。話を聞きながら、ふとそんな風に感じていた。流石に画像データを通じて、それが伝わるものとは思わないが……。
「そう言えば、俺になにか言いかけてなかった?」
「え?」
「さっき滝のところで、夏輝さんから呼ばれる前に」
少し思つめたように「あの、お兄さん」と、俯いた様子が少し気にかかっていた。渋滞で停車したタイミングで隣を見ると、なぜか松川さんは顔を真っ赤にしている。
「もし、よかったら……」
「なに?」
「いえ……やっぱり、いいです」
言葉を濁した松川さんは頻りと、後部座席の方を気にしていた。三人の方はこちらにおかまいなく話し続けていたし、車内にはラジオも流れている。会話を聴かれるような状態ではなかったが、俺は小声で聞いた。
「なにか困ったことでもあるなら、後で聞こうか?」
「いいえ」
彼女は頭を振り、呟くように言う。
「そもそも、お兄さんに……お願いできるようなことでは、ありませんから」
「?」
またスマホを弄りはじめる彼女の横顔を、俺はなんとなく眺めていた。