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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
その後も彼女たちの観光は続き、結局は近くだけでは飽き足らずに、隣接した市を幾つか跨いで移動することになった。最終的には別荘から下道で二時間以上も離れている、国宝としても有名な城にまで至った。
彼女たちがご満悦だったのは結構なことだが、一日中行きたい場所のリクエストに応じて運転し続けた俺の方は、最早うんざりといった感じ。ホントのホントに、今日一日だけだからな。その言葉を胸の内に秘めて、車を別荘に向けて走らせていた。
その一番長い道中で隣の助手席に座ったのが、運悪く(?)夏川さんなのである。彼女はこちらの疲労や機嫌といったものを一切考慮することなく、能天気な感じでせっせと話しかけてくれた。
まあ、隣で黙っていられても眠くなりそうだから、それはそれでいいんだけど。そう考えた時、俺はふとルームミラーを覗き、後部座席の端に座る松川さんの様子を気にした。
「……」
松川さんは黙ったまま、一人スマホを見つめている。否、瑞月や高坂さんも疲れ気味なので、彼女だけが際立って静かというわけでもない。その点では、夏輝さんが前に座っているせいでもあった。
しかし思い返してみると、あれ以降どこへ行っても、松川さんは黙ったままスマホを見つめていることが多かった気がする。元々が大人しいタイプといえば、そうなのだけど……。
そうして、別荘のある地元の辺りまで帰って来た時だった。
「あの、すみません」
突然そう声を上げたのは、それまで無言だった松川さんである。
「つっちー、どうしたの?」
俺に変わってそう応じてくれた夏輝さんに、彼女はこう話した。
「あ、うん。あのね……私、ちょっと友達と会うことになって」
「友達って、大学の?」
「うん……。同じ学部の子なんだけど、実家がこの辺りで今帰省してるみたいなの。さっきからメッセージしてて、なんとなく会おうかって話になって……」