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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
別荘に帰ると、俺は早々に地下の書斎に逃げ込もうとしていた。夏輝さんがあれこれ言いながら絡んできそうだったので、適当にあしらった感じである。
俺としてはこれ以上時間を割いている場合ではないし、なによりも早く彼女たちから解放され一人の時間を過ごしたかった。やはり本来、俺は社会性に乏しい人間のようだ。
「ねえ、管理人さん。本当にいいの?」
地下に下る前に、そんな風に話しかけてきたのは高坂文水だった。
「なんのこと?」
そう聞き返したのは、本当になんの話なのかピンとこなかったから。心臓が期せずしてドキリとしたのは、昨夜のことがあるからに他ならないが、彼女が話そうとしてるのは、もちろん別のことのようだ。
「やっぱり気になるよ。松川さんのこと」
高坂さんに言われ、俺も「ああ」と、車の中での続きだということを認識した。
「だけど、どうして俺に言うの? 彼女のことなら、まず他の二人に――」
そう言いかけると、高坂さんは眉根を寄せてやや険しい顔になった。
「あの二人が無関心なのは、さっきの話し方でわかったよね。前にも言ったけど、私自身は松川さんとほとんど接点がないの。その私が変だと感じているのに、親しいはずの二人があんな態度なのが気に入らないんだ」
「考えすぎじゃないかな……」
俺としては、瑞月と夏輝さんが問題にしなかったから、大丈夫なのだろうと判断したわけで。決して話しかけられたことを面倒に思ったわけではない。しかし、この話を早く切り上げたいという意図は、言葉の端々に出ていたのかもしれない。
高坂さんは、やや幻滅したように、ふっと息をついた。