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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
松川土埜から送られてきた位置情報に従い辿り着いた場所について端的に表せば、それはなんの変哲もない24時間営業のファミリーレストランとなる。店は国道沿いにあるが、街中からは随分と離れ周囲は少し寂し気だ。
ぼんやりと灯っている看板の光が、古びた印象を与える。駐車場に入ると車は疎らで、数えるほどしか停まっていなかった。
別荘から車で二十分ほど。もっともそれは、車の空いているこの時間帯だからであり、実際は割と長い距離を走っている。位置情報を確認した時、大体あの辺りだろうと検討をつけながらも、なんとなく嫌なイメージを抱いてしまったのには一応の理由がある。
もちろん店自体には問題はなく、それは立地による印象だ。先に寂し気な場所であると述べたが、駐車場から店の背後にある裏山の方向を眺めると怪しげなネオンの光がいくつか目につく。それらはいずれもラブホテルだった。
俺自身は利用したことはないが、この辺りにその手のホテルが密集してることだけは承知していた。
「さて、やって来てはみたものの……と」
すぐに車を降りて店に入るのは、流石に躊躇われた。松川さんからはこの場所を示されただけで、他にどうしろと言われているわけではない。
とはいえ、おそらく一緒にいるのは大学の女友達ではないと思われ。少し寂れたファミレスの雰囲気と、裏山に光るネオンがそれを物語っていた。じゃあ、どんな相手と会っているのか。それを考慮した時に、入店するのならある程度のトラブルを予見しておくべきだろう。
当然ながら、できれば事を荒立てたくはない。そう感じながら、俺はまた彼女に向けてメッセージを打った。
【今、店の駐車場にいるけど、どうしようか?】
「……」
メッセージを送信したまま、液晶画面を息を呑んで見つめる。
もしかしたら、これまで考えたことが全部、俺の早とちりかもしれない。店内のボックス席で女友達と談笑する彼女の姿を想像して、そうであるのならその方がいいと思う。ほんの少し、俺が無駄骨を折っただけのこと――しかし。