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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由


「!」

 今度は送信したメッセージの下に【既読】が表示されるまでに、ほとんどタイムラグはなかった。そして――

〖私、ずっと迷ってました〗

 返信されてきたのは、そんなメッセージだった。

「迷って……?」

 その意図がわからずに、再度メッセージを打とうとした時である。

「ねえ! 待ってくれよ!」

 突如としてダイレクトに響き渡った男の声が、車の中に佇む俺の耳にも聴こえていた。咄嗟にフロントガラス越しに視線を送ると、店の入口からこちらに駆けてくる彼女の姿が目に入った。

「松川さん!」

 俺は咄嗟にその名を口にしながら、素早く車から降りる。すると彼女の方でもこちらを認め、息を切らしながら俺の前で立ち止まった。

「一体、どうしたの?」

 その問いに彼女が答えるより先に、彼女を追いかけてきた、その男が言う。

「急に走り出したりして、一体どういうつもりなんだ?」

 期せずして俺と同じようなことを問いかけている男性の印象は、平たく言ってしまえば〝オジサン〟という表現になるだろう。失礼かもしれないが、少なくとも俺や松川さんから見ればそのくらい――四十代くらいの〝普通のオジサン〟だと感じた。

 松川さんが困ったように黙っていると、オジサンは必死な形相で自らの想いを訴えかけた。

「会いたいと、先にDMしてきたのはキミの方だろ。思わせぶりに二時間以上も話した挙句、突然逃げ出そうとするとか……本当に勘弁してほしいなぁ」

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