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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
だから俺は、やり方を変えた。
「あの、失礼ですが――」
「なんだ?」
「そちらは彼女と、どういったご関係ですか?」
「関係って、それは……?」
「先ほどのお話を伺っていた限りでは、今日はじめて会った、ということのようですが?」
「そ、そうだが、勘違いしないでくれ。誘ったのは彼女の方だぞ」
オジサンは念を押すように言うと、松川さんの方を指さした。
彼女は俺の後ろに隠れるようにして、シャツをキュッと握りしめた。その感触を背中に感じながら、俺は努めて涼しい顔で言う。
「どちらからというのはこの際、関係ないと思います」
「なんだと?」
「肝心なことは、SNS等を通じて面識のない若い女性と会っているという事実」
「俺が悪いと言うのか? それは身勝手すぎるぞ!」
詰め寄ってくるオジサンを、両手で諫める
「そうじゃありませんが。でも、ここで揉めて騒ぎを大きくするのは、本意ではないのでは、と。その場合、あらぬ誤解を招く恐れがあります。たとえば職場とか、あるいは、ご家族にしられた時に――」
オジサンは「ご家族」という部分を耳にした瞬間、ギクリと表情を歪めた。その時、彼の脳裏に浮かんだのが奥さんの顔なのか年頃の娘さんの顔なのかは知る由もないが、このリアクションを引き出せれば、話は終わったも同然だ。
「畜生! ああ、わかったよ!」
オジサンはそう言うと、踵を返し駐車場の隅に停めてある黒いセダンの方につかつかと歩いた。しかし治まらなかったのか、車に乗り込む前に大声を張り上げる。
「その女、ロクなもんじゃねえからな!」
バタン! ドアが勢いよく閉まると、エンジンをふかしセダンは走り去って行った。