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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由


 まあ、そう考えると、この場面に用いる諺として、強ち間違ってもいない。俺は松川さんを連れ戻そうとしながら、結果的にはこんな場所に来てしまっているのだから。

 そう、俺は現在。迎えに行ったファミレスからほど近い、ラブホテルの一室にいるのである。しかし待ってほしい、俺にだって言い分くらいはある。

「お願いです。私を抱いてください」

 そんな風に言われると同時に、背後から密着された。すなわち、彼女の豊満な胸が背中に押しつけられていたわけである。否、違う。だからといって、そのまま彼女を連れ立ってホテルに直行したわけではない。

 諺の引用ついでに、据え膳食わぬは男の恥、とか言い出すつもりはないから。というか、あれは最早〝据え膳〟というレベルではなく、かといって上手く言い換えられないのだけど……。

 たとえば、味わったことのないほど超絶に美味な料理を口の中に、あーんと頬張らせてもらっておきながら、それを租借することなく吐き捨てることができますか? ――というような話、かな?

 とにかく、ここに(車で)来るまでには、もう一波乱あったわけで、妙なたとえをするより、その経緯を詳らかにするべきだろう。

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