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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由
しばらくの沈黙の後で、彼女は答える。
「……はい」
ほっと胸を撫で下ろした。助手席のシートで俯いている彼女の表情は、乱れた黒髪が覆い隠している。冷静さを取り戻してくれただろうか。まだ、なんとも言えない。
なにかを話さなければいけないと思い、考える前に口を開いていた。
「どうして、しらない男の人と会ったりしたの?」
「……」
「抱かれる、ため?」
「…………」
長い沈黙を待つと、ほんの少し前、俺の唇を貪った唇が、微かに動いた。
「……そう、ですよ」
俺は小さく息を呑み、それから話を続けた。
「でも、迷ってた、と。メッセージでは、そう」
「はい……迷ってました、ずっと。……でも、違うんです」
「違う?」
「ええ、別に今日だけのことではありません。私――」
そう言って、ゆっくり顔を上げると。
「――こういうこと、今夜がはじめてではありませんから」
松川さんは言って、〝あの眼差し〟を俺に向けた。