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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第3章 抱かれたい理由


 ゆるゆると潤む大きな瞳は、先ほどの涙で表面をコーティングされながらも、その深遠さで俺を取り込もうとしている。

 ふと、そんな錯覚を受けるほど、やはり危ういのか。

「どう、して――?」

 繰り返しになる稚拙な問いが、より彼女を追い詰めるような気がして、俺は口ごもっていた。

 彼女が自分自身に納得してないのだ。だから、迷ったと言っている。だったら、胸の奥で彼女を突き動かすものは、理由ではなく理不尽な想い。

 問題のなのは、どうしてそうするのではなくて、どうしてそうせざるを得ないのか……?

「あの、お兄さん……」

「は、はい……?」

「私を抱くのは、嫌ですか?」

「い、嫌とか言う以前に……いきなりすぎるから。考えられないよ」

「だけど、いきなりでも。私はお兄さんに、抱かれたいと思いました」

「なっ……?」

「メッセージをいただいた時、胸の奥がゾクリと騒めきました。嬉しかったんです。最初は誰でもよかったのに。そう感じた瞬間から、願いが生じたんです。できれば、お兄さんに――と」

 そう言った松川さんは、淡い水色のサマーニット。それのⅤネックの襟に両手をかけると、それをビリビリと音を立て大きく胸元をはだけさせた。

「ま、松川さん……?」

 浮き上がる鎖骨。真っ白な肌と、ふくよかな膨らみの間(はざま)が作る陰影。それらに思わず目を見張る俺に、彼女は言うのだった。

「私、もう帰れません。だから、今夜は――」

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